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さてさて、先日銀座の老舗フレンチ、
エスコフィエで食事をした際に、
オーナーの平田さんから
紹介されたグラス「樹」。

これ、このグラスで飲むと
なんと味が変わるというもの。

実際にお店で試したところ、
本当に味が変わって。

興味を持ったのでグラスを購入して
自宅でテイスティング実験を行ってみました。

サイン入り書籍も頂いて一通り読んでみましたが
グラス部分の内容を要約すると、
・ボトルからグラスに移すと味は変化してしまう
・味の変化は分子の結合により起こる模様
・分子の結合は左右対称の真円の器で起こる
・左右非対称楕円の樹は分子の結合は起こらない
・樹ではボトルの中の味そのものが味わえる
・一旦分子の結合が起こると味は戻らない
…といった感じです。

*平田さんの書籍「ワインの神秘」はこちら。

平田さん曰く、キッコーマンの研究開発者や
MITの教授もこの結果に感嘆したらしく。

理論的にはまだ検証中のようで
話だけ聞くと少々信じがたいものでもあります。

…が、お店では本当に味が変わって。

テキーラソムリエ、
しかも当時4人しかいなかったという
テイスティングの銘柄当て含む全問正解者として
これはぜひプレミアムテキーラで検証せねばと。

この度、徹底検証しましたので、
総力レポートします！

まず、今回の検証実験で使用したグラスは
この３種類。

写真左: Casa de Luna ショットグラス
（以下Luna）
同右: Sauza ショットグラス
（以下Sauza）
同中央: 樹テイスティングロングステム
（以下Itsuki）

検証方法は下記。
①Lunaでテイスティング
②Sauzaでテイスティング
③Itsukiでテイスティング
④Itukiに注いだものをLunaに移しテイスティング
⑤Lunaに注いだものをItukiに移しテイスティング

さてさて、早速検証開始！

【実験1】Casa de Luna Blanco

まずはカーサデルナのブランコで検証。

樽熟成なし、アルコール度数は40％。
2013 テキーラ・オブ・ザ・イヤー銅賞受賞。

条件は、16：20、曇り、
温度24.5度、湿度43％。

テイスティング項目は
甘味、辛味、苦味、舌の刺激を
5段階で主観評価、
ボディと香りを定性評価。

①Lunaでテイスティング
甘味：★☆☆☆☆
辛味：★★★★☆
苦味：★★★★☆
舌感：★★★☆☆
香り：テキーラらしい尖りのある香り
ボディ：細

飲みなれた味。
テキーラらしくも、品のある
キレのある上質な味。

②Sauzaでテイスティング
甘味：★☆☆☆☆
辛味：★★★★☆
苦味：★★★★☆
舌感：★★★☆☆
香り：テキーラらしい尖りのある香り
ボディ：細

はい、想定通り味は変わらずでした。

③Itsukiでテイスティング
甘味：★★☆☆☆
辛味：★★★☆☆
苦味：★★★☆☆
舌感：★★☆☆☆
香り：テキーラらしい尖りのある香り
ボディ：細

…！？

味が違う！？

にわかに信じられず、Lunaの味と比べるも
やはり味が違く感じられ。

香りやボディは変化を感じませんでしたが、
顕著なのは甘味と辛味の違い。

Itsukiで飲むとよりまろやかなクセのない味。

④Itukiに注いだものをLunaに移しテイスティング
甘味：★☆☆☆☆
辛味：★★★★☆
苦味：★★★★☆
舌感：★★★☆☆
香り：テキーラらしい尖りのある香り
ボディ：細

これも試してみました。
ItsukiからLunaに移してLunaでテイスティング。

これは①、最初からLunaで飲んだ時と全く同じ。

⑤Lunaに注いだものをItukiに移しテイスティング
甘味：★☆☆☆☆
辛味：★★★★☆
苦味：★★★☆☆
舌感：★★★☆☆
香り：テキーラらしい尖りのある香り
ボディ：細

これも試してみました。④の逆。
苦味だけ多少の差はあったかもしれませんが
①とほぼ同じという結果。

…以上、概ね書籍の記載通りの結果。

主観なので正確性は微妙ですが、
やはり味が違うのでは！？という結果に。

【実験2】コーヒー

続いて市販のコーヒーで検証。

条件は、16：40、曇り、
温度24.5度、湿度48％。

テイスティング項目は
苦味、酸味、コクを5段階で主観評価。

①Lunaでテイスティング
苦味：★★☆☆☆
酸味：★☆☆☆☆
コク：★★☆☆☆

はい、まぁ、さっぱりめのコーヒーの味。

②Sauzaでテイスティング
苦味：★★☆☆☆
酸味：★☆☆☆☆
コク：★★☆☆☆

これも想定通りで味は変わらず。

③Itsukiでテイスティング
苦味：★☆☆☆☆
酸味：★☆☆☆☆
コク：★★☆☆☆

…！？

やっぱり味が違う！？

またもちょっと信じられず、
Lunaでの味と比べるも
やはり味が少し違う風に感じられ。
微妙な差ではありますが…。

④Itukiに注いだものをLunaに移しテイスティング
苦味：★★☆☆☆
酸味：★☆☆☆☆
コク：★★☆☆☆

実験1と同じく、
①最初からLunaで飲んだ時と同じ。

⑤Lunaに注いだものをItukiに移しテイスティング
苦味：★★☆☆☆
酸味：★☆☆☆☆
コク：★★☆☆☆

実験1と多少異なり、①と全く同じという結果。

ブランコほどの差はないとはいえ、
コーヒーでも同様の結果に。

【実験3】 Casa de Luna Anejo

最後は時間を置いた後に
カーサデルナのアニェホで検証。

複数樽で18か月熟成、アルコール度数は40％。
2012 テキーラ・オブ・ザ・イヤー銅賞、および
2012 Tequila.net – Best of Bestを受賞。

条件は、21：07、曇り、
温度23.5度、湿度54％。

①Lunaでテイスティング
甘味：★★★☆☆
辛味：★★★★☆
苦味：★★★☆☆
舌感：★★☆☆☆
香り：テキーラ＋樽の芳醇な香り
ボディ：太

これも飲みなれた味。
上質なブランデーを彷彿とさせる芳醇な味。

香りはテキーラらしさを残しつつも
ブランコと異なり苦味が減り甘味が増える。

②Sauzaでテイスティング
甘味：★★★☆☆
辛味：★★★★☆
苦味：★★★☆☆
舌感：★★☆☆☆
香り：テキーラ＋樽の芳醇な香り
ボディ：太

これも実験1同様、①と味は変わらず。

③Itsukiでテイスティング甘味：★★★☆☆
甘味：★★★★☆
辛味：★★★☆☆
苦味：★★☆☆☆
舌感：★★☆☆☆
香り：テキーラ＋樽の芳醇な香り
ボディ：太

…！？

え…味が違う！？

これもやはり信じられず、
再度Lunaでの味と比べるも…違う。

実験1同様、香りやボディには
それほど変化を感じませんでしたが、
今回は甘味と辛味、苦味で差が。

やはりショットグラスとは異なる味。

④Itukiに注いだものをLunaに移しテイスティング
甘味：★★★☆☆
辛味：★★★★☆
苦味：★★★☆☆
舌感：★★☆☆☆
香り：テキーラ＋樽の芳醇な香り
ボディ：太

これは①、最初からLunaで飲んだ時と全く同じ。

⑤Lunaに注いだものをItukiに移しテイスティング
甘味：★★★☆☆
辛味：★★★★☆
苦味：★★★☆☆
舌感：★★☆☆☆
香り：テキーラ＋樽の芳醇な香り
ボディ：太

これも①と全く同じという結果。

なお、テイスティングの間には
下記ミネラルウォーターで
毎回クリアにしてます。
（硬度31mg / リットル、ph 8.1）

テイスティングの結果は、
なんと平田理論の通りでした！

まぁ、あくまで主観の評価である、
ショットグラスとワイングラスの差もありうる、
潜在的な意識への刷り込みで知覚差がありうる
…等の限界はあるものの、味の差は感じられて。

ソムリエをたくさん集めてみんなで
ブラインドテイスティングしてみたら
かなり面白いかも。

なお、今回のプレミアムテキーラは
どちらも新品で。
故に直接口にするのは憚られたので
ボトル直のテイスティングは未済です。

カーサデルナの日本初輸入時には
味博士に機械で数値をはかってもらい
流通してる代表的なテキーラと比較しましたが
なんと、同じく味博士のAISSY社で
樹の分析もしたらしく。

結果、甘味・旨味・塩味・苦味・酸味の5要素で
樹の味はボトルのものと同じ数値だったものの、
普通のグラスのものは、
なんとボトルのものと違う数値だったとのこと。

つまりは、普通のグラスに入れてしまうと、
ボトルのものからは味が変化してしまう。

樹に入れたものは、ボトルから味の変化がなく、
ボトルの味がそのまま楽しめる…と。

知覚的にだけではなく、科学的にも
味の変化の有無が証明されたとのこと。

んー、味の違いは気のせいではなかったのか。

感心するとともに、自分のテイスティング力にも
ちょっと自信が持てました(笑)

余談ですが樹はお孫さんのお名前が由来らしく。

テイスティングに使用したプレミアムテキーラは
カーサデルナ（Casa de Luna）の
ブランコとアニェホ。
どちらもテキーラソムリエとして
おすすめの1本なので
ぜひお酒が好きな方はお試しあれ。

↑楽天　　　　　　　↓アマゾン

さらに余談ですが、環境をできるだけ揃えるため
検証実験のBGMは
実験1-3共通でこちらのアルバムでした☆

以上、魔法のグラス、樹の検証レポートでした！
とても興味深い結果でしたね。

気になってきた方は銀座のエスコフィエ、
もしくは私の家で(笑)、
ぜひ試してみてください。

うーん、でもやっぱり不思議っ！！